NFPA79 産業機械用電気規格

NFPA79NFPA 79とは、米国の産業機械用電気安全規格であり、NFPA70(NEC:米国電気工事規程)の第670条にて参照されています。NFPA 79は特に、産業機械や機器での感電や火災を取り除く事を目的とし、多種多様な機械の内部で使用されている電子機器に適用されます。600V以下の公称電圧で作動する機械の電気・電子部品すべてに適用されます。

   NFPA 79 2018年版では、全体的な安全性に引き続き焦点を当て、更に欧州の対応規格であるIEC 60204-1との互換を推進しています。こうした変化には主に、機械メーカーが自社製品の国内及び国際基準での安全性への準拠を保証しなければならないというグローバルな要求が背景にあります。

 

【最適なケーブル選定】

 

最適なケーブル選定は、産業機械や機器の据付において見過ごされやすい要素です。それは機械、機器、及び電気設備資材(コンジット、ケーブルトレイ、レースウェイ等)の初期費用、また機器設置に必要な人件費などが大きく目立ち、設計及び設置プロセスで、ケーブル選定が見過ごされやすくなるケースです。しかし、選定が見過ごされる事により、そのプロジェクトに対して、後々高いコストがかかる場合があります。訴訟や賠償責任などが急増している今日、適切なケーブルを選ぶことは今まで以上に重要になってきています。

 

【海外メーカーのケーブル特性理解が重要】

 

米国及び他国でも、機械、電気設備に関係する規定や規制要件が数多くあるため、適切なケーブルを選択するのは更に難解な課題となる場合があります。また米国以外の機械メーカーは、自社製のケーブルを使用していることがあり、より一層複雑な問題になっています。
自国内調達のケーブルの仕様は米国では適用されず、納入者と機械メーカーの双方にとって問題となることが多々あります。最悪の場合、AHJ(Authority Having Jurisdiction)など検査機関から不適合と判断され、ケーブル交換やUL認証サービス、又は安全性試験施設による個別の認証を要求されることがあります。どちらの場合も、工程の遅れが発生し、プロジェクト全体のコストが大幅に増加する可能性があります。
  こうした問題に対処するため、ULなどの安全性試験機関は、ケーブルメーカーだけではなく機械メーカー等との間で製品を確認し、コンプライアンスの認証を行っています。

 

【AWMケーブルの使用制限】

 

従来、機内配線用電線として利用されてきた電線・ケーブルAWM(Appliance Wiring Material)でしたが、NFPA 79 2007年版では、建物のインフラストラクチャ(工場設備・施設)で、誤った使用方法難燃特性の違い電気特性及び温度特性における絶縁体の違いなどが理由で、AWMの使用が禁止されました。その結果、AWMは産業用プラットフォーム上で設置できるリステッドケーブルのみに限定されていました。しかし、可動用などの、より高性能のケーブル(例えばポリウレタン、高可動用サーボケーブルなど)を必要とするアプリケーションでは、リステッドケーブルはなかなか手に入らず、「グレーゾーン(Gray Area)」を作り出してしまったのです。


  アプリケーションの種類によっては、様々な材質を組み合わせて、高性能のケーブルを提供しても、リステッドケーブルとしての要件を満たすこと、AWM の寸法特性などを適合させることは非常に困難です。機械メーカーや部品メーカーは、検査により不適合と判断されるリスクを負うか、AWM の認証取得のために別途費用を費やすことを余儀なくされていました。
 

しかし、LAPP は、2007 年時点においても、可動用、TC、PLTC、CMG 用などのリステッドケーブルも取り扱っており、お客様に最適なケーブルソリューションを提供してきました。NFPA 79 2012 年版では、AWM が条件付き(NFPA79 12.9 項)で使用可能になりました。(NFPA79 12.9 項を満たす使用法に限ります。)
また、2018 年版でも AWM は継続して、使用可能(NFPA79 12.9 項)でありますが、使用制限もある為、全体の機械・機器・設備でもすべてリステッドされたケーブルを使用する傾向になってきています。

 

【NFPA 79 2018 年版 ケーブルに関する主なポイント】

(1)NFPA 79 2018: 第 1 章 - 管理

 

NFPA 79 2018 年版からの抜粋

【ポイント】

(1)NFPA 79 に明確な定義がなく、詳細説明が必要な項目は、NFPA 70(NEC)を参照しています。
(2)NFPA 336 条では、UL リステッド TC-ER(トレイケーブル)を定義しており、産業プラットフォームに加え、産業インフラストラクチャにおけるケーブルトレイ内への設置を許可しています。

例: ÖLFLEX® Tray II、Control TM、VFD Slim、VFD 2XL、Servo 7TCE など

ÖLFLEX® TRAY II  ÖLFLEX® CONTROL TM ÖLFLEX® VFD Slim ÖLFLEX® VFD 2XL ÖLFLEX® Servo 7TCE

 

(2)NFPA 79 2018: 第 4 章 – 新たな追加要件について

 

NFPA 79 2018 年版からの抜粋

【ポイント】

 

この抜粋は一見、NFPA79 12.3.1項でいう熱硬化性ケーブルの使用が義務付けられているように見えますが、特に「機器メーカーの指示に従って選択されなければならない。」と記述された文により、機械メーカーや設置業者、設計者などはドライブ機器メーカーの指示に基づいたリステッドケーブル以外の高性能VFD及びサーボケーブル(AWM)を指定することが可能になりました。

ULでは絶縁体の種類を定義しており、N4.4.2.8でいう絶縁体は以下の通りです。絶縁体とは、電気あるいは熱を通しにくい性質を持つ物質です。

 

種類 説明 温度制限 (℃)
Wet Dry
MTW Machine Tool Wire 60 90
THHN Thermoplastic High Heat-resistant Nylon-coated   90
THW Thermoplastic Heat and Water resistant insulated wire 75 75
THWN Thermoplastic Heat and Water resistant Nylon coated wire 75 75
RHH Rubber High Heat-resistant   90
RHW Rubber Heat-/Water- resistant 75 75
RHW-2 Rubber Heat-/Water- resistant -2 90 90
XHHW Cross-Linked High Heat Water resistant insulated wire 75 90
XHHW-2 Cross-Linked High Heat Water resistant insulated wire -2 90 90

 

MTW
冷凍機器、自動洗濯機、空調機器、工作機械の制御配線、その他のさまざまな建築用途を含む機器の内部配線に使用されます。
耐湿性、耐熱性、耐油性、熱可塑性の特徴があります。
THHN
一般的な建築用ワイヤーとして使用されます。工作機械、制御回路、および一部の機器でも使用されています。
耐熱性、熱可塑性の特徴があります。
THW
ダクト内配線や屋内配線用ケーブルです。
耐湿性、耐熱性、熱可塑性の特徴があります。
THWN
住宅、商業、および工業用施設における一般用途の配線、照明、および電力用のコンジットおよびケーブルトレイの使用に適しています。
耐湿性、耐熱性、熱可塑性の特徴があります。
RHH
照明、電源システム、および一般的な配線アプリケーションで使用できます。
熱硬化性の特徴があります。
RHW
照明、電源システム、および一般的な配線アプリケーションで使用できます。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。
RHW -2
RHWと同じ品質を備え、照明、電源システム、および一般的な配線アプリケーションで使用できます。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。。
XHHW
主な用途は住宅、商業、工業用施設ですが、レースウェイ、フィーダー、回路配線にも使用されています。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。
XHHW -2
次世代型のXHHWです。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。

  本改定における対応として、以下2点が例として挙げられます。

(1)RHH、RHW、RHW-2、XHH、XHHW、または XHHW-2 のマークがついた UL リステッドのフレキシブルモーター電源ケーブルは、電力変換装置での使用が許可されているケーブルの一つです。

 

例: ÖLFLEX® VFD 2XL シリーズ

(2)特定のケーブルの選択は、機器メーカーに委ねられます。これにより、上記のセクション 4.4.2.8 で指定されたケーブル以外の UL リステッドケーブルを指定できます。

   

 

(3)NFPA 79 2018: 第 12 章 - 導体、ケーブル、フレキシブルケーブル

 

NFPA 79 2018 年版からの抜粋

 

【ポイント】

(1)AWM の認証が取得されている場合、産業インフラストラクチャで使用が許可されている TC-ER、PLTC-ER、ITC-ER、CMG 等の他のリステッドケーブルも、産業プラットフォームで使用できます。


例:ÖLFLEX® TRAY II、UNITRONIC® 300、BUS CAN Tray など

    

(2)機器内配線用電線(AWM)は、メーカー指示に従い、認可済みの機器との使用で、産業プラットフォームでも使用が許可されています。

例:ÖLFLEX® 490 P、FD 90、Servo 9YSLCY-JB など

  

  こうした背景より、昨今、高性能 VFD 及びサーボモータを使用した各国の機械・装置は、各国で作られた AWM ケーブルとともに米国に出荷されています。これは設置に必要な部品をすべて提供する「パッケージ」の一部として扱われています。

 

【グレーゾーン】

 

 AWM ケーブルが機械装置内部など条件付きで使用する場合は、規定違反は問題はありませんでした。ところが AWM ケーブルが機械装置内部(機械の一部)から、ケーブルトレイへ、建物のインフラストラクチャからコントロールパネルまで、つまり NFPA70 が適用される範囲で使用されることが問題になってきました。更には、こうしたケーブルがコントロールパネルから機械装置へと配線された際に、固定や保護がされない「吊り下げられた」状態になっているといった問題にも発展しました。


  AWM は NFPA70 で承認されているケーブルではないため、AWM ケーブルが産業用プラットフォームの域を超えて使用された場合は、その度に「グレーゾーン」が発生するという状況になっていました。
  この問題に関して、TC-ER 規格のケーブルを使用することで、「グレーゾーン」を解決することができます。TC が付与されたケーブルは大規模燃焼試験 (UL 1277 Vertical Tray Flame 又は CSA FT4/IEEE 1202)への準拠が義務付けられているため、高耐火性であることが保証されています。-ER(Exposed Run)が付与されたケーブルは、金属外装ケーブル(Type Metal Clad : Type MC)で要求される破壊試験及び衝撃試験に合格するだけの強度を持つことが保証されています。

 

【LAPP TC-ER 取得製品】

 

◆パワーコントロールケーブル

  • ÖLFLEX® CONTROL TM/CONTROL TM CY(シールド付)



  • ÖLFLEX® TRAY II/TRAY II CY(シールド付)



  • ÖLFLEX® SERVO 7TCE



  • ÖLFLEX® VFD 2XL/VFD 2XL w/Signal

 

◆可動ケーブル

  • ÖLFLEX® CHAIN TM/CHAIN TM CY(シールド付)

 

  • ÖLFLEX® SERVO FD 7TCE



◆信号ケーブル

  • UNITRONIC® 300/300S/300STP

 

 


  近年、設計者は、拡大しつつある市場のニーズを満たす高性能で精巧な機械装置を設計するよう要求されています。モーターサイズや定格電圧、許容電流、環境条件等は非常に重要な要素であり、こうした要素すべてが正しいケーブルを選択する際に重要となります。ドライブモーターの精度を保つために、電気的性能を十分に考慮し、設計の段階から正しいケーブルを選択することが不可欠です。

  高精度が求められるアプリケーションの場合、一般的には熱硬化性絶縁 VED/サーボケーブルが推奨されます。高可動で、取り回しの容易な小径のケーブルが必要なアプリケーションの場合は、熱可塑性プラスチック絶縁 VED/サーボケーブルが推奨されます。熱可塑性プラスチック絶縁ケーブルは、こうしたアプリケーション用の VED/サーボシステムに必要な物理的・電気的要件を満たしています。

 

【露出ケーブル -ER(エクスポーズドラン)の利点】

NFPA 79 2018 年版にはもう一つ重要な箇所があります。13.1.6.1 項では、エクスポーズド(露出)ケーブルについては、機器やシステムの構成に基づき、あるいは、機械装置内部にエクスポーズド(露出)ケーブルを設置してもよく、さらに、エクスポーズド(露出)ケーブルは、機械装置の外面及びフレームに沿って配線する必要があります。つまり、13.1.6.1 項では、コンジット又はケーブルレールを使用せずにケーブルを設置することが許可されており、費用対効果が見出せる設置が可能になっています。設置の際、特別な支持金具や固定ブラケットを使用せずに、機械装置に沿ってケーブルを束ねることも可能です。コンジットやケーブル固定用ブラケットなどを必要とする従来の設置方法と比べて、機械装置の設置にかかる時間や労力を削減でき、大幅なコスト削減につながります。13.1.6.1 項ではこうした種類の設置に関する、以前の「グレーゾーン」への解決策を提供し、規定遵守を保証します。

  Exposed Run 【-ER】の要件を満たす UL リステッドケーブルを使えば、13.1.6.1 項で記載されている種類のアプリケーションを更に保護することができます。【-ER】要件に適合するケーブルは、破壊試験や衝撃試験の対象となります。【-ER】を付与したトレイケーブル(TC)は NFPA70(NEC:米国電気工事規程)の 336 条に詳細が記載されています。

●TC が付与されたケーブル
→大規模燃焼試験の要件(UL 1277 又は CSA FT4/IEEE 1202)に準拠しているので、産業インフラストラクチャ全体のケーブルトレイでの使用が許可されています。
●-ER が付与されたケーブル
→破壊試験及び衝撃試験の要件(Type MC)への準拠が条件のため、エクスポーズドラン(露出) での使用が許可されています。

【-ER】を付与した【TC】ケーブルは(NFPA70 336 条に準拠している限り)、ケーブルトレイから関連機器までの距離を自由な経路で延長が可能という利点があります。
※トレイから装置・機器間の配線に、物理的な障害がない場合、
→6ft(1.8m)以内の場合は、保護・固定なしで配線可
→6ft(1.8m)以上の場合は、6ft(1.8m)以内の間隔で固定が必要
※トレイ端部から装置・機器へ配線する場合は、ケーブルの最小曲げ半径以下にならず、また機械的な固定が必要です。

 

【NFPA79 以外の配線規定】

 NFPA 79 2018 年版で定義されていない配線に関しては、1.4 項で機械製造業者及び設置業者に NFPA70(NEC)670 条の準拠が適用されます。同様に NFPA70 670 条では、NFPA 79 の準拠を認めています。


  例えば、通信アプリケーションの場合、UL Type CMG は NEC Article 800 で認められているケーブルタイプですが、産業用プラットフォーム(機械・装置)上で使用する場合はNFPA 79 規格に準拠している必要があります。
 

 なお、すべての UL リステッドケーブルが NFPA 79 の要件を満たしているわけではありません。特に低価格電線・ケーブルや固定使用のケーブルは要件を満たしていない可能性があるので、注意が必要です。

 

【UL 規格においての LAPP の立ち位置】

 

産業用プラットフォームで使用されるケーブルは、幅広いアプリケーションに利用可能であり、厳しい産業環境への耐性も要求されます。またグローバル市場でのアプリケーションで使用可能なケーブルである必要もあります。LAPP のマルチ認証ケーブルは、各国の認証に加え、IEC 準拠の導体構成(㎟)と北米(AWG)に適した撚線を採用しているため、グローバル市場でのアプリケーションに最適な選択肢となっています。

  産業用プラットフォームには、固定や可動のアプリケーションに対応できるケーブルが必要です。AWM では、標準的な汎用タイプではなく、可動パフォーマンスに特化した絶縁体及びアウターシースのケーブルを取り扱っていました。
2012年以来NFPA 79ではAWMは継続して、産業用プラットフォームで使用可能(NFPA79 12.9 項)でありますが、使用制限もある為、昨今、全体の機械・機器・設備でもすべてリステッドされたケーブルを使用する傾向になってきています。

  LAPP は、「産業用プラットフォーム NFPA79 及びその建物のインフラストラクチャNFPA70(NEC)の両方を 1 本のケーブルで対応する」という、リステッドされたケーブルソリューションを提供しています。それは、固定配線用途に限らず、電気特性と物理特性を保持した可動用途もサポートしています。

  機器や機械装置に使用されるケーブルも、設備に掛かるコストと同様に考慮することが重要です。ケーブル固有の特性を無視したり、軽視したりすることで、逆にコストがかかってしまう可能性があります。回避できるはずのダウンタイムが生じたり、危険性の高 い、生死に関わる状況まで発展したりする場合もあります。産業用機械の製造及び設置に関して、NFPA は NFPA 79 2018 年版の発行を通して、人と財産に対する安全性を継続的に向上させています。

  NFPA 79 2018 年版で AWM は配線方法として認可されていますが、機械メーカーや設置業者、請負業者などは、AWM の使用を産業用プラットフォームに限定するため、引き続き注意する必要があります。また、AWM は NEC (米国電気工事規程)では認可された配線方法ではないため、適切な UL リスティング(TC、PLTC、ITC 等)と二重に付与されていない限り、産業用インフラストラクチャでは、使用が認められていません(UL リスティング TC、PLTC、ITC 等は除く) 。検査の際には、使用されているケーブルはいずれも監督機関(AHJ)による検査の対象となることに注意してください。ケーブルに関する最終的な判断を下すための経験及び適切な資格を持つのは、AHJ だけです。

  LAPP では、NEC (米国電気工事規程)の規格又は NFPA 79 の規制の一部に関する解釈についてサポートさせて頂きますが、最終的な仕様検討と確定は、お客様にてご判断いただく様お願い申し上げます。

お困りですか?

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お気軽にカスタマーサービスまでお問い合わせください。

 

   03-4520-6245


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NFPA79 産業機械用電気規格

NFPA79   NFPA 79とは、米国の産業機械用電気安全規格であり、NFPA70(NEC:米国電気工事規程)の第670条にて参照されています。NFPA 79は特に、産業機械や機器での感電や火災を取り除く事を目的とし、多種多様な機械の内部で使用されている電子機器に適用されます。600V以下の公称電圧で作動する機械の電気・電子部品すべてに適用されます。

   NFPA 79 2018年版では、全体的な安全性に引き続き焦点を当て、更に欧州の対応規格であるIEC 60204-1との互換を推進しています。こうした変化には主に、機械メーカーが自社製品の国内及び国際基準での安全性への準拠を保証しなければならないというグローバルな要求が背景にあります

【最適なケーブル選定】

  最適なケーブル選定は、産業機械や機器の据付において見過ごされやすい要素です。それは機械、機器、及び電気設備資材(コンジット、ケーブルトレイ、レースウェイ等)の初期費用、また機器設置に必要な人件費などが大きく目立ち、設計及び設置プロセスで、ケーブル選定が見過ごされやすくなるケースです。しかし、選定が見過ごされる事により、そのプロジェクトに対して、後々高いコストがかかる場合があります。訴訟や賠償責任などが急増している今日、適切なケーブルを選ぶことは今まで以上に重要になってきています。

【海外メーカーのケーブル特性理解が重要】

  米国及び他国でも、機械、電気設備に関係する規定や規制要件が数多くあるため、適切なケーブルを選択するのは更に難解な課題となる場合があります。また米国以外の機械メーカーは、自社製のケーブルを使用していることがあり、より一層複雑な問題になっています。
自国内調達のケーブルの仕様は米国では適用されず、納入者と機械メーカーの双方にとって問題となることが多々あります。最悪の場合、AHJ(Authority Having Jurisdiction)など検査機関から不適合と判断され、ケーブル交換やUL認証サービス、又は安全性試験施設による個別の認証を要求されることがあります。どちらの場合も、工程の遅れが発生し、プロジェクト全体のコストが大幅に増加する可能性があります。
  こうした問題に対処するため、ULなどの安全性試験機関は、ケーブルメーカーだけではなく機械メーカー等との間で製品を確認し、コンプライアンスの認証を行っています。

【AWMケーブルの使用制限】

  従来、機内配線用電線として利用されてきた電線・ケーブルAWM(Appliance Wiring Material)でしたが、NFPA 79 2007年版では、建物のインフラストラクチャ(工場設備・施設)で、誤った使用方法難燃特性の違い電気特性及び温度特性における絶縁体の違いなどが理由で、AWMの使用が禁止されました。その結果、AWMは産業用プラットフォーム上で設置できるリステッドケーブルのみに限定されていました。しかし、可動用などの、より高性能のケーブル(例えばポリウレタン、高可動用サーボケーブルなど)を必要とするアプリケーションでは、リステッドケーブルはなかなか手に入らず、「グレーゾーン(Gray Area)」を作り出してしまったのです。


  アプリケーションの種類によっては、様々な材質を組み合わせて、高性能のケーブルを提供しても、リステッドケーブルとしての要件を満たすこと、AWM の寸法特性などを適合させることは非常に困難です。機械メーカーや部品メーカーは、検査により不適合と判断されるリスクを負うか、AWM の認証取得のために別途費用を費やすことを余儀なくされていました。
   しかし、LAPP は、2007 年時点においても、可動用、TC、PLTC、CMG 用などのリステッドケーブルも取り扱っており、お客様に最適なケーブルソリューションを提供してきました。NFPA 79 2012 年版では、AWM が条件付き(NFPA79 12.9 項)で使用可能になりました。(NFPA79 12.9 項を満たす使用法に限ります。)
また、2018 年版でも AWM は継続して、使用可能(NFPA79 12.9 項)でありますが、使用制限もある為、全体の機械・機器・設備でもすべてリステッドされたケーブルを使用する傾向になってきています。

【NFPA 79 2018 年版 ケーブルに関する主なポイント】

(1)NFPA 79 2018: 第 1 章 - 管理

NFPA 79 2018 年版からの抜粋

【ポイント】

(1)NFPA 79 に明確な定義がなく、詳細説明が必要な項目は、NFPA 70(NEC)を参照しています。
(2)NFPA 336 条では、UL リステッド TC-ER(トレイケーブル)を定義しており、産業プラットフォームに加え、産業インフラストラクチャにおけるケーブルトレイ内への設置を許可しています。

例: ÖLFLEX® Tray II、Control TM、VFD Slim、VFD 2XL、Servo 7TCE など

ÖLFLEX® TRAY II ÖLFLEX® CONTROL TM ÖLFLEX® VFD Slim ÖLFLEX® VFD 2XL ÖLFLEX® Servo 7TCE

 

(2)NFPA 79 2018: 第 4 章 – 新たな追加要件について

NFPA 79 2018 年版からの抜粋

【ポイント】

  この抜粋は一見、NFPA79 12.3.1項でいう熱硬化性ケーブルの使用が義務付けられているように見えますが、特に「機器メーカーの指示に従って選択されなければならない。」と記述された文により、機械メーカーや設置業者、設計者などはドライブ機器メーカーの指示に基づいたリステッドケーブル以外の高性能VFD及びサーボケーブル(AWM)を指定することが可能になりました。

ULでは絶縁体の種類を定義しており、N4.4.2.8でいう絶縁体は以下の通りです。絶縁体とは、電気あるいは熱を通しにくい性質を持つ物質です。

種類 説明 温度制限 (℃)
Wet Dry
MTW Machine Tool Wire 60 90
THHN Thermoplastic High Heat-resistant Nylon-coated   90
THW Thermoplastic Heat and Water resistant insulated wire 75 75
THWN Thermoplastic Heat and Water resistant Nylon coated wire 75 75
RHH Rubber High Heat-resistant   90
RHW Rubber Heat-/Water- resistant 75 75
RHW-2 Rubber Heat-/Water- resistant -2 90 90
XHHW Cross-Linked High Heat Water resistant insulated wire 75 90
XHHW-2 Cross-Linked High Heat Water resistant insulated wire -2 90 90

 

MTW
冷凍機器、自動洗濯機、空調機器、工作機械の制御配線、その他のさまざまな建築用途を含む機器の内部配線に使用されます。
耐湿性、耐熱性、耐油性、熱可塑性の特徴があります。
THHN
一般的な建築用ワイヤーとして使用されます。工作機械、制御回路、および一部の機器でも使用されています。
耐熱性、熱可塑性の特徴があります。
THW
ダクト内配線や屋内配線用ケーブルです。
耐湿性、耐熱性、熱可塑性の特徴があります。
THWN
住宅、商業、および工業用施設における一般用途の配線、照明、および電力用のコンジットおよびケーブルトレイの使用に適しています。
耐湿性、耐熱性、熱可塑性の特徴があります。
RHH
照明、電源システム、および一般的な配線アプリケーションで使用できます。
熱硬化性の特徴があります。
RHW
照明、電源システム、および一般的な配線アプリケーションで使用できます。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。
RHW -2
RHWと同じ品質を備え、照明、電源システム、および一般的な配線アプリケーションで使用できます。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。。
XHHW
主な用途は住宅、商業、工業用施設ですが、レースウェイ、フィーダー、回路配線にも使用されています。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。
XHHW -2
次世代型のXHHWです。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。

  本改定における対応として、以下2点が例として挙げられます。

(1)RHH、RHW、RHW-2、XHH、XHHW、または XHHW-2 のマークがついた UL リステッドのフレキシブルモーター電源ケーブルは、電力変換装置での使用が許可されているケーブルの一つです。

例: ÖLFLEX® VFD 2XL シリーズ

(2)特定のケーブルの選択は、機器メーカーに委ねられます。これにより、上記のセクション 4.4.2.8 で指定されたケーブル以外の UL リステッドケーブルを指定できます。



(3)NFPA 79 2018: 第 12 章 - 導体、ケーブル、フレキシブルケーブル

NFPA 79 2018 年版からの抜粋

【ポイント】

(1)AWM の認証が取得されている場合、産業インフラストラクチャで使用が許可されている TC-ER、PLTC-ER、ITC-ER、CMG 等の他のリステッドケーブルも、産業プラットフォームで使用できます。

例:ÖLFLEX® TRAY II、UNITRONIC® 300、BUS CAN Tray など

(2)機器内配線用電線(AWM)は、メーカー指示に従い、認可済みの機器との使用で、産業プラットフォームでも使用が許可されています。

例:ÖLFLEX® 490 P、FD 90、Servo 9YSLCY-JB など

  こうした背景より、昨今、高性能 VFD 及びサーボモータを使用した各国の機械・装置は、各国で作られた AWM ケーブルとともに米国に出荷されています。これは設置に必要な部品をすべて提供する「パッケージ」の一部として扱われています。

【グレーゾーン】

  AWM ケーブルが機械装置内部など条件付きで使用する場合は、規定違反は問題はありませんでした。ところが AWM ケーブルが機械装置内部(機械の一部)から、ケーブルトレイへ、建物のインフラストラクチャからコントロールパネルまで、つまり NFPA70 が適用される範囲で使用されることが問題になってきました。更には、こうしたケーブルがコントロールパネルから機械装置へと配線された際に、固定や保護がされない「吊り下げられた」状態になっているといった問題にも発展しました
  AWM は NFPA70 で承認されているケーブルではないため、AWM ケーブルが産業用プラットフォームの域を超えて使用された場合は、その度に「グレーゾーン」が発生するという状況になっていました。
  この問題に関して、TC-ER 規格のケーブルを使用することで、「グレーゾーン」を解決することができます。TC が付与されたケーブルは大規模燃焼試験 (UL 1277 Vertical Tray Flame 又は CSA FT4/IEEE 1202)への準拠が義務付けられているため、高耐火性であることが保証されています。-ER(Exposed Run)が付与されたケーブルは、金属外装ケーブル(Type Metal Clad : Type MC)で要求される破壊試験及び衝撃試験に合格するだけの強度を持つことが保証されています。

【LAPP TC-ER 取得製品】

◆パワーコントロールケーブル

  • ÖLFLEX® CONTROL TM/CONTROL TM CY(シールド付)


  • ÖLFLEX® TRAY II/TRAY II CY(シールド付)


  • ÖLFLEX® SERVO 7TCE


  • ÖLFLEX® VFD 2XL/VFD 2XL w/Signal


◆可動ケーブル
  • ÖLFLEX® CHAIN TM/CHAIN TM CY(シールド付)


  • ÖLFLEX® SERVO FD 7TCE


◆信号ケーブル
  • UNITRONIC® 300/300S/300STP

 


  近年、設計者は、拡大しつつある市場のニーズを満たす高性能で精巧な機械装置を設計するよう要求されています。モーターサイズや定格電圧、許容電流、環境条件等は非常に重要な要素であり、こうした要素すべてが正しいケーブルを選択する際に重要となります。ドライブモーターの精度を保つために、電気的性能を十分に考慮し、設計の段階から正しいケーブルを選択することが不可欠です。

  高精度が求められるアプリケーションの場合、一般的には熱硬化性絶縁 VED/サーボケーブルが推奨されます。高可動で、取り回しの容易な小径のケーブルが必要なアプリケーションの場合は、熱可塑性プラスチック絶縁 VED/サーボケーブルが推奨されます。熱可塑性プラスチック絶縁ケーブルは、こうしたアプリケーション用の VED/サーボシステムに必要な物理的・電気的要件を満たしています。

【露出ケーブル -ER(エクスポーズドラン)の利点】

  NFPA 79 2018 年版にはもう一つ重要な箇所があります。13.1.6.1 項では、エクスポーズド(露出)ケーブルについては、機器やシステムの構成に基づき、あるいは、機械装置内部にエクスポーズド(露出)ケーブルを設置してもよく、さらに、エクスポーズド(露出)ケーブルは、機械装置の外面及びフレームに沿って配線する必要があります。つまり、13.1.6.1 項では、コンジット又はケーブルレールを使用せずにケーブルを設置することが許可されており、費用対効果が見出せる設置が可能になっています。設置の際、特別な支持金具や固定ブラケットを使用せずに、機械装置に沿ってケーブルを束ねることも可能です。コンジットやケーブル固定用ブラケットなどを必要とする従来の設置方法と比べて、機械装置の設置にかかる時間や労力を削減でき、大幅なコスト削減につながります。13.1.6.1 項ではこうした種類の設置に関する、以前の「グレーゾーン」への解決策を提供し、規定遵守を保証します。

  Exposed Run 【-ER】の要件を満たす UL リステッドケーブルを使えば、13.1.6.1 項で記載されている種類のアプリケーションを更に保護することができます。【-ER】要件に適合するケーブルは、破壊試験や衝撃試験の対象となります。【-ER】を付与したトレイケーブル(TC)は NFPA70(NEC:米国電気工事規程)の 336 条に詳細が記載されています。

●TC が付与されたケーブル
→大規模燃焼試験の要件(UL 1277 又は CSA FT4/IEEE 1202)に準拠しているので、産業インフラストラクチャ全体のケーブルトレイでの使用が許可されています。
●-ER が付与されたケーブル
→破壊試験及び衝撃試験の要件(Type MC)への準拠が条件のため、エクスポーズドラン(露出) での使用が許可されています。

【-ER】を付与した【TC】ケーブルは(NFPA70 336 条に準拠している限り)、ケーブルトレイから関連機器までの距離を自由な経路で延長が可能という利点があります。
※トレイから装置・機器間の配線に、物理的な障害がない場合、
→6ft(1.8m)以内の場合は、保護・固定なしで配線可
→6ft(1.8m)以上の場合は、6ft(1.8m)以内の間隔で固定が必要
※トレイ端部から装置・機器へ配線する場合は、ケーブルの最小曲げ半径以下にならず、また機械的な固定が必要

【NFPA79 以外の配線規定】

  NFPA 79 2018 年版で定義されていない配線に関しては、1.4 項で機械製造業者及び設置業者に NFPA70(NEC)670 条の準拠が適用されます。同様に NFPA70 670 条では、NFPA 79 の準拠を認めています。
  例えば、通信アプリケーションの場合、UL Type CMG は NEC Article 800 で認められているケーブルタイプですが、産業用プラットフォーム(機械・装置)上で使用する場合はNFPA 79 規格に準拠している必要があります。
  なお、すべての UL リステッドケーブルが NFPA 79 の要件を満たしているわけではありません。特に低価格電線・ケーブルや固定使用のケーブルは要件を満たしていない可能性があるので、注意が必要です。

【UL 規格においての LAPP の立ち位置】

  産業用プラットフォームで使用されるケーブルは、幅広いアプリケーションに利用可能であり、厳しい産業環境への耐性も要求されます。またグローバル市場でのアプリケーションで使用可能なケーブルである必要もあります。LAPP のマルチ認証ケーブルは、各国の認証に加え、IEC 準拠の導体構成(㎟)と北米(AWG)に適した撚線を採用しているため、グローバル市場でのアプリケーションに最適な選択肢となっています。

  産業用プラットフォームには、固定や可動のアプリケーションに対応できるケーブルが必要です。AWM では、標準的な汎用タイプではなく、可動パフォーマンスに特化した絶縁体及びアウターシースのケーブルを取り扱っていました。
2012年以来NFPA 79ではAWMは継続して、産業用プラットフォームで使用可能(NFPA79 12.9 項)でありますが、使用制限もある為、昨今、全体の機械・機器・設備でもすべてリステッドされたケーブルを使用する傾向になってきています。

  LAPP は、「産業用プラットフォーム NFPA79 及びその建物のインフラストラクチャNFPA70(NEC)の両方を 1 本のケーブルで対応する」という、リステッドされたケーブルソリューションを提供しています。それは、固定配線用途に限らず、電気特性と物理特性を保持した可動用途もサポートしています。

  機器や機械装置に使用されるケーブルも、設備に掛かるコストと同様に考慮することが重要です。ケーブル固有の特性を無視したり、軽視したりすることで、逆にコストがかかってしまう可能性があります。回避できるはずのダウンタイムが生じたり、危険性の高 い、生死に関わる状況まで発展したりする場合もあります。産業用機械の製造及び設置に関して、NFPA は NFPA 79 2018 年版の発行を通して、人と財産に対する安全性を継続的に向上させています。

  NFPA 79 2018 年版で AWM は配線方法として認可されていますが、機械メーカーや設置業者、請負業者などは、AWM の使用を産業用プラットフォームに限定するため、引き続き注意する必要があります。また、AWM は NEC (米国電気工事規程)では認可された配線方法ではないため、適切な UL リスティング(TC、PLTC、ITC 等)と二重に付与されていない限り、産業用インフラストラクチャでは、使用が認められていません(UL リスティング TC、PLTC、ITC 等は除く) 。検査の際には、使用されているケーブルはいずれも監督機関(AHJ)による検査の対象となることに注意してください。ケーブルに関する最終的な判断を下すための経験及び適切な資格を持つのは、AHJ だけです。

  LAPP では、NEC (米国電気工事規程)の規格又は NFPA 79 の規制の一部に関する解釈についてサポートさせて頂きますが、最終的な仕様検討と確定は、お客様にてご判断いただく様お願い申し上げます。